債権回収の方法・流れ支払督促

支払督促とは?

支払督促とは、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、簡易な手続きで強制執行を可能とする手続きです。債務者が金銭債務等の債務を任意に履行しない場合には、訴訟等により債務名義を取得し、強制執行を申し立てることで債権の回収をすることができます。もっとも、債務者が債務の存在や内容を争わないにも関わらず債務の履行をしないという場合には、支払督促を利用することで、訴訟等をすることなく、簡易迅速に債務名義を取得し、強制執行を申し立てることもできます。

支払督促を利用するケースは?

上記のように、支払督促をすると、債務者が任意に債務を履行しないときであっても、簡易な手続きで強制執行ができるようになります。債務者が任意に債務を履行しない理由としては、債務者が債務の存在やその金額を争っているためということもありますが、債務者が債務の存在やその金額を認めながらも気が進まないなどの理由により履行をしない場合もあります。後述のように、支払督促は、債務者が異議を述べると訴訟に移行してしまうので、債務者が債務の存在や金額を争っている場合には、訴訟に移行する可能性が高く、支払督促が無意味になる可能性も高くなります。そのため、支払督促は、債務者が債務の存在や金額を認めながらも任意に履行しない場合に適した手段ということができます。

また、支払督促は簡易迅速な手続きによって債務名義を得ることができるため、誤って執行が行われても原状回復が容易なものである必要があると考えられています。そのため、支払督促を利用することができるのは、金銭等の給付を請求する場合に限定されています。

支払督促の手順・手続き

(1)裁判所書記官に支払督促を申し立てる

支払督促手続きは簡易裁判所の書記官によってなされるため、支払督促の申し立ては裁判所書記官に対してすることになります。支払督促の申し立ては口頭ですることもできますが、書面ですることが原則であり、実際にも書面でするのが一般的です。支払督促の申し立てには、支払督促申立書や収入印紙のほか、官製はがきなどが必要になることもありますが、申し立てに必要なものは裁判所によって異なるため、申し立て前に管轄裁判所の書記官に確認してみるとよいでしょう。

なお、申し立てはインターネットですることもできますが、その場合は電子署名や電子証明書の送付が必要となります。

(2)裁判所書記官が審査を行い、債務者である相手方に支払督促の発付・送達

支払督促の申し立てがされると、裁判所書記官は、その申し立てが適法で理由があるかどうかを審査することになります。審査をするのは、支払督促申立書の記載のみであり、支払督促申立書に記載されている事項を裏付ける証拠などの提出を要求されることはありません。支払督促の申し立てが適法でないと判断された場合は、補正を命じられたり、申し立てが却下されたりすることもあります。

支払督促の申し立てが適法で、かつ理由があると認められると、裁判所書記官は支払督促を発付し、相手方である債務者に支払督促正本が送達されます。申し立てをした債権者が申し出た住所に、債務者の住所や就業場所などがなく、債務者に支払督促が送達できない場合は、2か月以内に別の送達すべき場所を申し出る必要があり、この申し出をしないときは、支払督促を取り下げたとみなされます。なお、支払督促正本の送達は、通常訴訟と異なり、債務者の住所や就業場所が不明であったとしても、公示送達によって送達をすることはできません。支払督促の発付は債務者を審尋することなく行われることから、支払督促に対する異議申し立ての機会を実質的に保証する必要があると考えられているためです。

(3)仮執行宣言の申立書を裁判所に提出する

支払督促は仮執行宣言が付されることによって強制執行ができるようになります。債務者に支払督促が送達されてから2週間以内に異議申し立てがされないときに、仮執行宣言の申し立てを裁判所書記官にすることで、支払督促に仮執行の宣言が付されることになります。仮執行宣言の申し立ては口頭ですることもできますが、仮執行宣言の申立書を提出することによって行うのが一般的です。仮執行宣言の申し立ては債務者に支払督促が送達されて2週間を経過したときから30日以内にする必要があり、この期間内に仮執行宣言の申し立てが行われない場合、支払督促は効力を失うことになります。

(4)裁判所書記官が審査を行い、仮執行宣言を発付

仮執行宣言の申し立てがされると、裁判所書記官は、仮執行宣言の申し立てが適法であるか、仮執行宣言の申し立ての期間等の要件を満たしているかを審査し、申し立てが適法で要件を満たしていれば、仮執行宣言を発付します。申し立てが不適法な場合、申し立ての却下処分がされますが、この処分に対しては異議を申し立てることができます。

(5)仮執行宣言付支払督促の送達により、強制執行が可能

仮執行の宣言がなされると、裁判所書記官は仮執行の宣言を付した支払督促を送達します。債務者に対する仮執行宣言付支払督促の送達は、支払督促正本の送達と異なり公示送達によることもできます。そして、仮執行の宣言を付した支払督促が債務者に送達されると、執行力が生じ、債務名義となり、強制執行が可能となります。なお、仮執行宣言付支払督促が債務者に送達されてから2週間以内に債務者による異議申し立てがされないときは、支払督促は確定判決と同一の効力を有することになります。この確定判決と同一の効力には執行力は含まれるものの既判力は含まれないため、支払督促確定後も債務者は請求異議訴訟で争うことが可能となっています。

相手方が異議申し立てをした場合

仮執行宣言発付前の異議申し立ての場合

支払督促を申し立てられた債務者は、支払督促に対し、異議申し立てをすることができます。仮執行宣言発付前の異議申し立ては、支払督促の送達後それが失効するまではいつでもすることができます。適法な異議申し立てがされると、民事訴訟手続きに移行し、支払督促は、その異議の限度で効力を失うことになります。

仮執行宣言発付後の異議申し立ての場合

仮執行宣言発付後でも、債務者は異議を申し立てることができます。仮執行宣言発付後の異議申し立ては、債務者に仮執行宣言付支払督促が送達されてから2週間以内にする必要があります。仮執行宣言発付後の異議申し立ての場合も民事訴訟手続きに移行しますが、仮執行宣言付支払督促の効力は失われず、その執行力が停止するわけではありません。このように、異議申し立てがされたとしても強制執行は依然として可能であるため、債務者が強制執行を止めるためには強制執行停止等の申し立てをする必要があります。

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