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    公開日:2021.03.22
    更新日:2021.03.11
    売掛金・債権回収の6つの方法! 手順や注意点について弁護士が解説

    売掛金・債権回収の6つの方法! 手順や注意点について弁護士が解説

    取引先の会社に商品を引き渡したのに代金を支払ってもらえない。
    お金を貸した相手から返済期日になっても返済してもらえない。
    このように、売掛金などの債権を回収できない事態になれば、キャッシュフローにも影響し、回収できない金額によっては経営難に陥ることもあるかもしれません。このような場合は債権回収をする必要がありますが、債権回収にはどのような方法があるのでしょうか。その手順や注意点を踏まえて弁護士が解説します。

    • 債権回収
    • 方法

1、まず知っておきたい債権回収の流れについて

離婚などの紛争と同じように、債権回収もまずは当事者間の話し合いからスタートし、話し合いがまとまらないときは裁判所での手続きを踏むこととなります。以下では債権回収の詳しい流れについて見ていきましょう。

  1. (1)協議による請求

    まず、債権者・債務者の間で電話やメール、文書など裁判外(任意)の協議で支払いもしくは返済をしてもらうよう請求します。相手方が話し合いに応じれば、協議の中で返済方法や返済期日などを決めていきます。ここで解決すれば手間暇やコストがあまりかからずにすむでしょう。

  2. (2)内容証明郵便での請求

    話し合いで解決しない場合は、相手方に催告書や督促状を内容証明郵便を利用して送付します。内容証明郵便とは、郵便局がいつ・誰が・どのような文書を送ったかを証明してくれるものです。法的拘束力はないので、相手方が内容証明郵便に書かれた内容を履行しなくても罰せられたりすることはありません。しかし、内容証明郵便を送っておけば、裁判になったときに相手方に請求(催告)したことを示す最有力な証拠になります

  3. (3)仮差押え

    債権回収する前に相手方が財産を目減りさせたり、他社が相手方の財産を差し押さえたりしないようにするためには、裁判所で保全の手続きをしなければなりません。保全手続きには「仮差押え」と「仮処分」の2種類がありますが、債権回収のために保全手続きをする場合は、相手方に所有する財産を勝手に処分されないよう、仮差押えをしておきます

  4. (4)裁判所での手続き

    話し合い、内容証明郵便のいずれも不調に終わったときは、裁判所を介する法的手続きを行います。法的手続きとは訴訟手続きのみならず、訴訟よりも迅速に進められる支払督促や調停などの方法もあります

  5. (5)強制執行

    調停調書や確定判決が得られても、相手方が約束どおり返済または支払いをしなければ、絵に描いた餅になってしまいます。そこで、調停調書や確定判決を債務名義として、債務者の財産に強制執行をすることによって、強制的に債権を回収することができます。あらかじめ仮差押えをしておいた財産があれば、当然、これにも強制執行を掛けることができます。

2、債権回収の6つの方法

債権回収の方法として、大まかには当事者間でできるものと裁判所を介するものに分けられます。さらに、そこから当事者間でできるものは2通り、裁判所を介するものは4通りありますので、債権回収には全部で6通りの方法があると言えます。それぞれについて解説します。

  1. (1)当事者間で行える方法

    当事者同士でできる方法としては、大きく分けて2通りあります。

    ①直接請求する
    まず、電話やメールをしたり直接訪問するなどして、相手方と直接コンタクトを取って請求します。あるいは、請求書を郵送して文書で金額や支払期日をあらためて提示するようにしましょう。あまり手間や費用がかからない方法である点はメリットですが、居留守を使われたり、担当者につないでもらえない可能性がある点がデメリットです。

    ②内容証明郵便で請求する
    直接相手方と話ができない場合は、督促状や催告書を内容証明郵便にして送付するとよいでしょう。内容証明郵便を利用するときは弁護士の名前で送ると、相手方にも「法的手続が行われるかもしれない」というプレッシャーを与えることができます。

  2. (2)法的手段を用いた回収方法

    法的手段を用いた債権回収方法は4つあります。

    ①支払督促
    支払督促とは、債務者に対して自分の持つ金銭債権について簡易裁判所の書記官に支払督促を発令してもらう制度です。支払督促を出してもらった後は、仮執行宣言の申し立てをして、強制執行の申し立てができるようにします。ただし、支払督促から2週間以内に債務者が異議申し立てをしてくる場合がありますが、この異議申し立てがあった場合は訴訟に移行することになります

    ②民事調停
    民事調停を申し立て、裁判官1名と民間の有識者2名から成る調停委員会のもとで話し合いをする方法もあります。原則として協議は当事者と調停委員のみで行われますが、調停委員会の許可を受けて利害関係者が参加することもあります。調停が成立すれば、調停調書が交付されますが、不成立に終われば訴訟に移行するのが通常です

    ③訴訟(通常訴訟・少額訴訟)
    調停も不成立であれば、訴訟を提起することになります。訴訟で確定判決を得れば、それを債務名義に強制執行をすることが可能です。債権の金額が60万円以下の場合は少額訴訟という方法もあります。少額訴訟は証拠調べと口頭弁論を1日で行うため、迅速に判決が出ることがメリットです。

    ④強制執行
    調停調書や確定判決が出てもなお、相手方が債務を弁済しない場合には、それらの債務名義をもとに、強制執行が必要です。裁判所に対して強制執行を申し立て、相手方の財産を差し押さえることでそこから弁済してもらうことになります。

3、債権回収における注意点

債権回収にあたり、注意したほうがよい点について見ていきましょう。

  1. (1)相手の資産状況を把握する

    債権回収には、まず相手方に支払い能力があるかどうかを調査することから始めます。支払い能力の有無を調べるには、相手方の資産状況を調査します。資産とは、キャッシュや土地建物に限りません。社用車や備品、倉庫や工場に保管している商品も資産のひとつです。また、代表者の所有する土地建物の名義を家族など他人の名義にして財産隠しをしていることもありますが、この場合には回収をストレートに行うことができませんので、注意が必要です。

  2. (2)全額ではなく一部でも返済してもらう

    時効の成立時期が近づいたときに、時効の更新もしくは完成の猶予を行わなければなりません。それらが成立するには、催告などの方法のほかに、相手方の債務の承認もあります。そのため、すぐに全額を支払うのは難しくとも、その一部でも支払うと債務の承認となるため、わずかでも支払ってもらうよう促すことが大切です

  3. (3)個人だと弁済に応じてくれないケースも少なくない

    取引形態がB to Bではなく、B to Cの場合、債権回収の相手方は企業ではなく個人となります。個人の場合は、いくら支払うよう請求をしてもなかなか弁済に応じないこともあるでしょう。その場合、支払い能力はあるものの支払う気がないのか、支払いたくても支払い能力がないのかをよく見極めて対応することが必要です。

  4. (4)話し合いで決まったことは公正証書にする

    協議で合意したことは必ず文書にしておくことが不可欠ですが、それをさらに公正証書にしておきましょう。公正証書とは、公証人が当事者からの申し立てに基づいて作成する公文書のことです。合意内容を合意書にまとめ、それを公正証書にすることで、強制執行のできる執行力を持たせることができます。強制執行をより確実なものにするには、「相手方が弁済しようとしない場合は強制執行をしても文句は言わない」という内容の執行認諾文言を付した公正証書にしておくと確実でしょう。                                      

  5. (5)債権には時効が存在する

    旧民法では売掛金の債権は2年、飲食・宿泊費は1年、工事代金は3年など、債権の種類ごとに短期の時効期間が設定されていました。しかし、令和2年4月1日から施行された改正民法では、そのような細かい短期時効が撤廃され、原則として「権利を行使することができる時から10年、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」と統一されました。

  6. (6)相手が債務整理をしようとしている場合

    相手が多重債務に陥り、債務整理をしようとしている場合は要注意です。このときは、無理に任意で債権回収をしようとしないほうがよいでしょう。なぜなら、債務整理の手続きをしてしまうと、債務者は勝手に自分の財産を処分できなくなるからです。相手方が債務整理をしようとしているような気配があれば、支払督促など迅速に債権回収のできる法的手続きに切り替えた方が良いでしょう。

4、債権回収を弁護士に依頼するメリット

「相手方に支払い(もしくは返済)を請求するのは気が引ける」という方も少なくないと思います。それが親しい間柄にある人物や企業であればなおさらです。気まずい思いをしないためにも、債権回収を行う場合は弁護士に依頼したほうがよいでしょう。そのメリットは次の5つあります。

  1. (1)適切な債権回収方法を選べる

    上記で見てきたとおり、債権回収方法には幾つかのものがありますが、相手方の資力やそのときの状況によって取るべき債権回収方法は変わってきますので、「今このタイミングでどの方法を選択すべきか」について適切な判断をすることは難しいでしょう。弁護士に相談すれば、今までの経緯や現状から選択すべき適切な方法についてアドバイスをもらえるでしょう。

  2. (2)任意交渉から裁判手続きへの以降がスムーズ

    任意で電話やメール、請求書ベースで請求しているうちから弁護士に相談しておくことをおすすめします。そうすれば、任意交渉でうまくいかないときに支払督促や訴訟などの裁判手続きを取ることになったとしても、移行がスムーズにいくでしょう。また、訴訟で勝訴した後の強制執行手続きまでまとめてお任せすることができる点もメリットです

  3. (3)手続きの負担が軽減する

    任意交渉・裁判のいずれを利用するとしても、それぞれに一定の手続きが必要になります。特に裁判手続きになったときには、裁判所に提出する書類作成や手続きが煩雑で非常に時間がかかるでしょう。弁護士にあらかじめ依頼しておけば、書類作成や手続きを代行してもらえるので、物理的な手間暇や精神面の負担が軽減できます。

  4. (4)本業に専念できる

    自力で債権回収をしようとすると、回収が完了するまである程度時間や労力を費やすことになります。しかし、だからといってその間に本業をおろそかにするわけにもいかないでしょう。弁護士に依頼すれば相手方との交渉や手続きなどの一切をお任せできるので、債権回収に取り組みながらも安心して本業に専念できるでしょう。

  5. (5)交渉を有利に進めることができる

    弁護士を味方につけることで、交渉を有利に進められる点が最も大きなメリットです。弁護士が相手方と交渉することで、相手方に支払い能力があれば比較的早期に全額支払ってもらえる可能性が高くなります。また、支払い能力がない場合には分割払いでも応じてもらうことができるでしょう。

5、まとめ

債権回収は、選択する方法や相手の状況、タイミングによって成功率が左右されます。どの方法で債権回収すべきかについては、弁護士へご相談されることをおすすめします。また、法的措置を取る場合は弁護士の必要性がさらに増すでしょう。ベリーベスト法律事務所では、債権回収にお困りの方をサポートしております。どうぞお気軽にご相談ください。

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